本記事では、BDC銘柄であるプロスペクト・キャピタルについてまとめたものです。
BDC銘柄は、ほとんどが配当利回り「10%」を超える米国の高配当株になります。インカムゲイン狙いの投資家にとっては魅力を感じると思います。高配当すぎるが故にリスクもあります。
米国のBDCで代表的な銘柄といえばARCCですが、今回はほかのBDC銘柄に比べて配当利回りが高いPSEC(プロスペクト・キャピタル)について解説していきたいと思います。
高配当を出し続けるBDC銘柄とは?
BDC銘柄とは【Business Development Company】の略で、事業開発会社のことでいわゆる投資会社です。
- 新産業や有望なベンチャー企業の事業開発へ投資
- 金銭面だけではなく、経営面でもサポートしている
- ベンチャー企業などは一般企業に比べて銀行からの融資を受けにくく、BDCが投資することにより大きなリターンを得ている
- 投資先の企業を上場させることでさらなるリターンを得る
- 1銘柄当たりの構成比率を全体の25%以下に抑えなければいけない
- 資産の70%を適格投資対象(時価総額2.5億ドル以下の未公開企業の株式、ローン、債券など)に投資しなければならない
なぜ配当利回りが高いの?
BDCは、利益の90%以上を投資家への配当にすることによって、法人税を免除することができます。
つまり投資家がBDC企業に投資することで、そのお金で未上場のベンチャーなどに投資し、その高いリターンを投資家へ還元してくれるという仕組みになります。ですので、必然的に高配当になるということです。
プロスペクト・キャピタル(PSEC)の概要
PSECは、2004年に設立された割と歴史ある米国のBDCです。主に、米国の中堅企業へクローズドエンドで投資しています。クローズドエンドとは、組み入れ資産の時価に基づく純資産価格での買い戻しや解約を原則認めてないものです。
基本的には未上場の企業へ投資、債権を発行することで利益を得ており、長期資本増加を目標としています。
PSECの基本情報は下記になります。
ステッカー | PSEC |
会社名 | Prospect Capital Corporation(プロスペクト・キャピタル・コーポレーション) |
上場 | NASDAQ |
時価総額 | 2390.1百万ドル=2,485.7億円 |
配当利回り | 11~13% |
配当月 | 毎月 |
ホームページ | Prospect Capital Corporation (prospectstreet.com) |
プロスペクト・キャピタル(PSEC)の特徴
ここからは、PSECの特徴をポートフォリオや株価、配当金の推移の観点から解説していきます。
ポートフォリオ
※PSECのHPより引用
- ローン担保債権:15.4%
- 不動産投資:14.5%
- カスタマーファイナンス:12.2%
39産業・205の投資先に分散投資されており、上位3割は債権と不動産(REIT)になります。
財務状況
(単位:百万ドル) | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 |
売上高 | 701.05 | 657.85 | 703.77 | 623.53 |
営業利益 | 299.07 | 279.26 | 304.37 | 262.99 |
当期利益 | 252.91 | 299.86 | 144.49 | -16.22 |
1株当たり利益(EPS) | 0.70 | 0.83 | 0.39 | -0.04 |
1株当たり配当 | 1.00 | 0.77 | 0.72 | 0.78 |
過去の財務状況を見てみると、売上高自体は大きいのですが利益が年々下がってきています。EPSよりも配当額が大きくなっていますので、財務的にはかなり厳しい状況だと言えます。2020年コロナ禍では利益が赤字になってしまっていますので、今後どうなっていくかが不透明でしょう。
配当推移
支払年月 | 配当(ドル)/月 | 配当利回り |
2017年9月~2021年1月 | 0.18 | 10.5~14% |
2016年11月~2017年8月 | 0.25 | 11~13% |
2015年3月~2016年10月 | 0.083 | – |
2013年1月~2015年2月 | 0.11 | – |
2010年7月~2012年12月 | 0.1 | – |
2008年4月~2010年4月 | 0.4 | – |
- 毎月配当
- 配当利回りは高い
- 長期的に見て配当額にバラツキがある
- 現在は減配傾向
毎月配当と配当利回りだけみればかなり魅力的な銘柄だといえますが、今後安定した配当収入とこの配当利回りを維持できるかは財務的に見ても不安と言えます。
株価
※楽天証券より引用
PSECの過去10年分の株価チャートです。
- 長期的にみて右肩下がり
PSECの株価は長期でみると右肩下がりです。財務状況を見ても落ち込んでいたのでそれが株価に表れています。コロナショック後は上昇傾向にあります。
- コロナショックでの下落率は40%
PSECはコロナショック前は6.5ドルを推移しており、コロナショック直近では4ドル付近まで下落しました。
BDC銘柄は経済影響をもろに受けやすい特徴があります。MAINに関してもコロナショック時には、半値まで下落していますので、リスクがある銘柄ではあります。MAINは、BDC銘柄の中でも大きく影響を受けやすいと感じます。
懸念点
- 今後の株価と配当が不安
財務状況を見ても年々落ち込んでおり、それに伴い株価も下落傾向あります。現在配当利回りは11%と高めですが、減配しているので今後この高利回りを維持できるかは不透明です。
PSECに投資する際のポイント
- 楽天証券で購入可能
ORCCは、楽天証券で購入可能です。そのほかの代表的なSBI証券やマネックス証券では取り扱いがないので注意しましょう。過去にマネックス証券でも数多くのBDC銘柄を取り扱っていましたが、取引停止となりました。
- 買いのタイミングは株価が下落したとき
株価の下落率が高めですので、そのタイミングを狙って買うのがいいと思います。タイミングによっては大きなキャピタルゲインとインカムゲインを取れる可能性もあります。
- ほかのBDCに投資するべきか、ポートフォリオの比率は低めにしておくべき
PSECに関しては、配当利回りだけ見ると魅了的ですが、長期的な目線でみると株価の下降傾向・減配リスクなど不安要素があります。でしたら、定番のBDC銘柄であるARCCやMAINに投資したほうがよいと思います。
もし投資する際は自分のリスク許容度を理解したうえで、ポートフォリオの比率を低めに設定しておくことをおすすめします。
まとめ
- 毎月配当
- 配当利回り「11~13%」と他と比べ高め
- 株価は長期的にみて右肩下がり、減配リスクあり
- 他のBDC銘柄に投資するほうが良いか
- 楽天証券で購入可
以上が、BDC銘柄であるPSEC(プロスペクト・キャピタル)についてでした。投資の判断材料として少しでも参考になりましたら幸いです。
Have a nice save!