本記事では、BDC銘柄であるエイリス・キャピタルについてまとめたものです。
BDC銘柄は、ほとんどが配当利回り「10%」を超える米国の高配当株になります。高配当株投資を行っている人にとってはかなり魅力に感じると思います。しかし、金融危機に非常に弱いというリスクもあります。
今回は、米国BDCで時価総額1位を誇るARCC(エイリス・キャピタル)について解説していきたいと思います。
目次
高配当を出し続けるBDC銘柄とは?
BDC銘柄とは【Business Development Company】の略で、事業開発会社のことでいわゆる投資会社です。
- 新産業や有望なベンチャー企業の事業開発へ投資
- 金銭面だけではなく、経営面でもサポートしている
- ベンチャー企業などは一般企業に比べて銀行からの融資を受けにくく、BDCが投資することにより大きなリターンを得ている
- 投資先の企業を上場させることでさらなるリターンを得る
- 1銘柄当たりの構成比率を全体の25%以下に抑えなければいけない
- 資産の70%を適格投資対象(時価総額2.5億ドル以下の未公開企業の株式、ローン、債券など)に投資しなければならない
なぜ配当利回りが高いの?
BDCは、利益の90%以上を投資家への配当にすることによって、法人税を免除することができます。
つまり投資家がBDC企業に投資することで、そのお金で未上場のベンチャーなどに投資し、その高いリターンを投資家へ還元してくれるという仕組みになります。ですので、必然的に高配当になるということです。
エイリス・キャピタル(ARCC)の概要
ARCCは、1997年に設立された割と歴史ある米国のBDCです。主に、中小企業や新興企業へ債権発行、株式投資を行い利益を得ています。ポートフォリオの8割近くがシニアローン、残り2割が優先株式などへの投資のため底堅いポートフォリオと言えます。
ARCCの基本情報は下記になります。
ステッカー | ARCC |
会社名 | Ares Capital Corporation(エイリス・キャピタル・コーポレーション) |
上場 | NASDAQ |
時価総額 | 7395.9百万ドル=7,766億円 |
配当利回り | 9~11% |
配当月 | 1,4,7,10月 |
ウェブサイト | Ares Capital Corporation | |
エイリス・キャピタル(ARCC)の特徴
ここからは、ARCCの特徴をポートフォリオや株価、配当金の推移の観点から解説していきます。
ポートフォリオ
- 第一抵当権付きローン:44.6%
- 第二抵当権付きローン:28%
- シニア劣後債:7.1%
- 中小企業へのローン:6.5%
- 優先株式:5.2%
- その他株式:8.5%
- 担保ローン債務:0.1%
産業構成比率
- ヘルスケアサービス:18.7%
- ソフトウェア・サービス:13.8%
- 商業・専門サービス:8.8%
- 金融:6.8%
- 発電:6.5%
- 中小企業へのローン:6.5%
- 消費者サービス:6.4%
- アパレル:6.2%
- 自動車・部品:5%
地域構成
- 西部:25.4%
- 中西部:25%
- 南東部:22.1%
- 中部大西洋:15.9%
- 北東部:7.9%
- その他の国:3.7%
ポートフォリオの8割がシニアローンで、5%が優先株式で構成されています。産業・地域の構成を見てもしっかり分散されていることがわかります。安定して利益を得られるポートフォリオだと思います。
財務状況
(単位:百万ドル) | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 |
売上高 | 1,012 | 1,160 | 1,337 | 1,528 | 1,511 |
営業利益 | 515 | 526 | 713 | 827 | 813 |
当期利益 | 474 | 667 | 858 | 793 | 484 |
1株当たり利益(EPS) | 1.51 | 1.57 | 2.01 | 1.86 | -0.64 |
1株当たり配当 | 1.52 | 1.52 | 1.54 | 1.68 | 1.02 |
過去の財務状況を見てみると、売上高・利益・EPSに関しては上がってきており、配当も安定していて増配傾向にあります。やはり8割シニアローンと分散がきいたポートフォリオのおかげだといえます。
配当推移
支払年月 | 配当(ドル)/月 | 配当利回り |
2019年3月~2020年12月 | 0.4 | 8.7~12.9% |
2012年9月~2018年12月 | 0.38~0.43 | 8.6~11% |
2009年6月~2012年6月 | 0.35~0.37 | – |
2007年3月~2008年12月 | 0.41~0.42 | – |
- 配当月は、1・4・7・10月
- 配当利回り9~11%が平均
- 安定した配当
- リーマンショック後は減配気味
金融危機後は配当額は下がりやすい傾向ですが、平常時は安定し配当を出せており配当利回りは9~11%と高めといえます。長期的に高配当を得たい方にはおすすめの銘柄です。
株価
※楽天証券より引用
ARCCの過去10年分の株価チャートです。
- 平常時は基本横ばい
ARCCの株価は基本的に横ばいで推移しています。平常時のキャピタルゲインは基本的に狙えませんが、高配当ゆえトータルリターンは良好です。
- コロナショックでの下落率は60%
- リーマンショックでの下落率83%
ARCCに限らずBDC銘柄は経済影響をもろに受けやすい特徴があります。株価が半値以上下落してしまいますので、一時的に資産が減るリスクを負えない方にはおすすめできません。
- 現在はもとの株価まで戻っている
コロナショックで10ドル付近まで大暴落しましたが、現在は17ドルと平常時の株価まで戻りつつあります。
ARCCに投資する際のポイント
- 楽天証券で購入可能
ARCCは、楽天証券で購入可能です。そのほかの代表的なSBI証券やマネックス証券では取り扱いがないので注意しましょう。過去にマネックス証券でも数多くのBDC銘柄を取り扱っていましたが、現在は取引停止となりました。
- 買いのタイミングは株価が下落したとき
株価の下落率が高めですので、そのタイミングを狙って買うのがいいと思います。タイミングによっては大きなキャピタルゲインとインカムゲインを取れる可能性もあります。
- リスクを取りずらい方は、ポートフォリオの比率は低めにしておくべき
安定的な配当と高い配当利回りは魅力的ではありますが、金融危機に貧弱なので一時的な資産の減少に耐えられない方はポートフォリオの構成を低めに設定しておくことをおすすめします。
長期的な高配当狙いの方は多少の減配はあるにせよ安定して配当を得られますので、ぜひ投資しておいたほうがよい銘柄といえます。ほかにも様々な特徴をもつBDC銘柄がありますから、比較して自分あった銘柄をみつけてみるのも良いです。
まとめ
- BDC銘柄の中では時価総額1位で老舗のBDC
- 配当利回り9~11%と安定した配当
- 株価は平常時横ばい
- 金融危機時の下落率は60~80%リスクがある
- 楽天証券のみで購入可
以上が、BDC銘柄であるARCC(エイリス・キャピタル)についてでした。投資の判断材料として少しでも参考になりましたら幸いです。
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